Wonderful World

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    「長谷川愛、全国ツアーやります」

 

 

 

あの発表から5ヶ月が経とうとしている先日、

全国ツアーの幕が閉じた。

ユニットでは幾度となく開催してきた全国ツアー。

その所縁のある地へ1人で戻ってきた1ヶ月。

 

初日はなぜか私も緊張していて。でもそうやって一緒に緊張するたびに、まだちゃんと好きなんだなぁって実感できるから実は好きな瞬間だったりする。彼女の生まれ育った町に、彼女のことを大好きな人が集まる、何回経験しても言葉に言い表せない嬉しさがあるなぁなんて思いながら、ステージを眺めていた。

 

"みんなの人生が美しいものでありますように"

その言葉から始まった「Beautiful Life」

私的にちょっと特別な思い入れがあるこの曲。この曲は他の曲よりもより彼女と一緒に歩いてきて、彼女と一緒に変化してきた曲のように感じる。

一見等身大の自分を歌っているようにも思えるけど、歌詞にもあるように"誰かの人生"の曲。等身大の彼女が、「私」の人生の美しさを、「あなた」の人生の美しさをみつけてくれた曲。

 

深いお辞儀から顔をあげた瞬間に涙が溢れた4年前、

負けないように掴んできた貴方の人生が、あの日よりも更に美しいものになっていますように。

この曲を聴くといつもそんな気分になる。

 

そして、この日初披露だった「あい」

不特定多数の「誰か」へ向けた曲と違って、特定の人へ向けた曲は受け入れてもらえるかという不安要素もあったと思う。それでも絶対に伝えたかった思いを、涙を流すことなく歌い上げて、"ほら見て"と客席を自慢気な笑顔で見つめて、そして最後に客席の1番後ろに深々と頭を下げていた姿はとてもかっこよかった。

 

最後には涙も見えたけど、歌詞のようにたくさんの笑顔とたくさんの涙を結んで大きな花を咲かせたこの日。

変わらない自分と変わった自分、その両方を

大好きな町に、愛する家族に、大切なファンに

見せてくれた、そんな初日だった気がします。

 

 

 

2日目は、ユニットでは何度も訪れて毎回パワーに圧倒されていた名古屋。そのパワーを出す前に圧倒されてしまうダンスで魅せつけた姿は、2日連続公演なことを忘れるくらいで。そして、彼女が何度も話していたように新しいツアーを見ているような、2回目の初日のような感覚だった(語彙力欠如)

数年彼女のステージを見てきて何度も思ったことだけど、本当に何様感満載だけど、彼女にダンスがあって良かったって思う。今でこそ自分の言葉で伝えてくれる機会も多くあるけど、昔はぎこちない部分も多くあって。本人も苦手意識を持っていたから余計にかもしれないけど、もっと伝えたいことがあるのにって溢してる姿もよく見てて。そんな時でも彼女のダンスは想いを代弁してくれてたというか、この曲は力強さを、この曲は儚さを大事にしてるんだろうなって彼女の持つ世界観を教えてくれることが何度もあった。

言葉で伝えてくれるのはもちろん嬉しいし、私自身も言葉を大事にしてるところはあるけど、ダンスという鎧が彼女を強くして、そして華を添えてくれたんだろうなと改めて思う日だった。

 

 

3ヶ所目は雰囲気が一変してアコースティックライブ。

ここ最近でアコースティックに合わせて歌う彼女の姿を何回か見る機会があったけど、彼女のパフォーマンスの中でもその姿が私はかなり好きで。元々バラード調の曲が好きなのも相まってなんだろうけど、どんな曲も自分の曲のように扱うところがすごく好き。もちろんアコースティックの時だけではないんだけど物語を紡ぐように歌ってるというか、自分が曲の中に入り込んでく感じ?自分がその曲の主人公になってて、だから起こったことも感じた気持ちも全部自分のものとして表現してくる。極端にいえば曲を乗っ取る感じ。その雰囲気を1番感じることができるから好き。あと泣き声で歌える人が好きだからそれを顕著に感じられるっていう点もあるかも。

 

そんなこともあって、個人的に期待値がすごく高かったこの日は正直オリジナル曲よりもカバー曲の方が印象に残ったなぁ。

ひとつひとつは細くて脆く見えるけど実は強くて、重なり合うことで強さが増すだけじゃなくて鮮やかになり、誰かを守る布という大きなものにもなる…それを自分とファンの関係のようだと話して歌った「糸」

"あなた"という歌詞で客席に手を伸ばす姿って今までも色んな曲で見てきたけど、それは決してパフォーマンスじゃなくて。この曲に出てくるあなたは、私にとってはみんなのことだよっていう本心なんだろうなって思うし、"みんな"って言葉で表してはいるけど、彼女の中では歌詞の通り、"あなた"って単数形で、1人の人として見てくれてる気がする。上手く言えないけど。

 

そして「Lemon」を歌ったのは意外だった。

年末に大きな決断をしたことで悲しい思いをしてる人が少なからずいるのをわかってるこの状況で歌うとは思っていなかった。それでもこの日、この場所で歌ったのはそれだけの理由があると思ってる。

あなたが死んでただただ悲しいですという曲を歌うことは、彼女なりに向き合って寄り添った結果だと私は思ってる。別人じゃないけど別人の自分にできることは、夢ならばどれほどよかったかという思いを、わかってるよと伝えること、悲しみを出していいと伝えること。

それぞれが色んな感情を抱えながら流す涙を見て優しく頷いていたのはきっとそういうことじゃないのかな。

 

みんながいるから自分がいるとよく話してくれる彼女にとって、その涙も含めて今自分の目の前にいる"あなた"は今でも私の光だと、そう伝えたかったんじゃないのかなと勝手に思ってる。

 

 

4ヶ所目、あっという間にセミファイナルとなったこの日。

この日は仙台と違ってギターのみのアコースティック。楽器が1つないだけで曲の雰囲気も声の響き方も何もかも別物で、そんな中でみんなの楽器も必要と手拍子を求めてる姿を見て、彼女にとっては"魅せる"ことが目的であって"見せる"ことは求めてないんだと改めて感じた。

 

ギターだけだと明るい曲もそこまで明るくなりすぎなくて、ちょっと落ち着きを感じたんだけどそのギターに負けない彼女の声に時の流れを感じた。

 

この日も印象に残ったのはカバー曲。

「逢いたくていま」を歌ったのも仙台同様にこちらの気持ちを汲み取ってのように感じた。きっとこの1ヶ月弱でも色んな言葉を聞いて、たくさんの気持ちを受け止めてきてくれたんだと思う。だからこそ、仙台よりも直球に、会えなくなることを悲しんでくれるその気持ちにも愛情を感じてることを伝えたかった気がする。

ずっと昔、あることで悩んでた私に「どんなことよりも自分を好きでいてくれることが幸せだからそれで十分だよ」と伝えてくれたことがあったから、今も同じ気持ちでいるような気がしてる。

"運命(決断)は変えられないけど伝えたいことがある"、ここに彼女の本心が全て詰まってるように感じられた。

 

彼女は本当によく客席を見てる。ひとりひとりの顔をよく見て、感情を読み取ってる。だからこそ、彼女が選んだ曲になにかしらの意味があるのをわかってることも、気持ちが届いたことも、こちら側が悲しんでるだけじゃなくて彼女と同じ気持ちでいることも全部理解してくれてると思ってるし、その上で仙台よりも気持ちを伝えられたって話してたのが嬉しかった。

 

 

ついにファイナル。去年と同じ会場には、去年と同じように多くの人が、彼女の20代最後のステージを観にきてた。

そしてその期待に応えるかのような圧巻のステージ。喋るのが好きと自分でも言っていた彼女が、ライブ終盤に差しかかるまでほぼMCなしで魅せつけてきた姿に息を呑んだ人も多かったと思う。私は呑んだ。

 

今までの4公演、全く色の違うライブをしてきたから、ファイナルは全部詰め込むと言っていたけどどうやるんだろうって疑問に思っていたけど本当に全部詰め込んできた。

ダンス、アコースティック、カバーと色が変わっていく様子はまるで映画を見ているようで、ガラッと雰囲気が変わってもその世界にすぐに人を惹きこんでた。これって彼女のすごい武器だと思う。

わかりやすかったのはアコースティックパートかな。アコースティックの公演のところでも似たことを書いたけど、彼女がステージに現れてワンフレーズ歌い出しただけで情景が浮かぶ。あ、今こういう状況でこんな気持ちなんだなって瞬時に理解できる。だからそれまでダンスに圧倒されていた客席は一瞬でドラマのワンシーンを見ているような空気に変わる。

 

たった1人で(正確にいえばバンドやダンサーもだけど)、会場全体を操ってるその姿こそがこのツアーの集大成のように感じた。

 

そしてTwitterとかでも話題になってたディズニーメドレーのワンシーン。今回出したCDにも彼が出演してたけど、これこそまさに今の彼女だから出来たことだろうなと思ってる。最後の年だから出来たこと、でもあるのかなとも思ったり。

私はなにより、この「Wonderful  World」という舞台に彼を出そうと考えたことが嬉しかった。良くも悪くも真面目な彼女は、加入してからしばらくは彼を「別人」として扱っていた。自分とは違う存在と区別することで出来たことや見えたものっていっぱいあるだろうしそこは別にいいんだけど、実際今回のツアー中も名前はおろか、彼の存在すらほとんどちらつかせなかった。大きな決断に関しても一切言及せず、悲しいときは私が笑顔にする、私が悲しませないと曖昧な表現をしていた。以前は笑ってと言っていた彼女が、笑ってても泣いててもいいとこのツアー中言ってたのはこれを受けてかなとは思ったりしてたけど。

そんな彼女がついに共演することを選んだ。その選択は、全く別の2つの人生が交わったような、2人が共存してるような、そんな感覚で。

姿が見えないという状況はまるで遠くない未来を表してるようで。でも彼女は彼がいるかのように隣を見つめ、照れて、嬉しそうに笑って、去っていく彼の背中に手を振っていた。声もちゃんと聞こえていた。

私たちは一緒に生きているし、これからも一緒に生きていくから、この先も彼の存在は絶対に消えたりしない、自分が消さない、彼女からのそんなメッセージのようにも感じた。

 

様々な形で想いを伝えてきてくれた彼女が、

最後に伝える手段に選んだのは言葉と歌だった。

アンコールで話してくれたことは私にも似た経験があるけど当人にとってはとても大きなことで。受け入れられないことだってあるし、そのことで苦労したり苦しむことだってある。でもそこから得る強さとか気づく優しさって絶対にあって、それを見つけたときに初めて誇りになるんだって私は思ってる。

形や大きさや深さ、原因は人それぞれ違うけど、傷なんて誰でも持ってる。でもその傷に触れて誇りに変えた彼女は、自分に託された祈りや願いを歌へと変えた彼女は本当に強い。

 

他人のために動ける彼女を作った道を垣間見れた気がしたし、最終日にしてまた新しい世界を見せてくれた彼女は偉大だった。

 

 

 

長い長い1ヶ月でした。

ツアーが始まる前、これが最後と思って臨むと言ってる彼女を見て疑問と寂しさを少し感じたんだけど、本当に最初で最後のツアーだった。

最初で最後のツアーを5回見た気分。

(それは最早ツアーではないけど。笑)

でもそう思うくらい、全く違う世界が広がってた。

 

長谷川愛が創りあげた5つの世界は

色鮮やかで

輝いていて

やさしくて

心温まる

そんなWonderful Worldでした。

 

 

たった1人だけだとしてもその人のために歌うと決めた彼女の人生にこの先もずっと美しいものが増えていき、素晴らしい世界の中で輝き続けられますように。

愛を与え続けて、貰い続けていられますように。

夢のように幸せな1ヶ月、5公演でした。

お疲れ様でした( ◜◡◝ )